硫化物イオン

昨日の硫化水素の続きです。
水の中の硫化物は、溶存態の硫化水素(H2S)ほかにもいろいろな形態があります。
水質試験ではこれらを総称して「硫化物イオン」と呼びます。
これらは硫黄化合物のサイクルの中で、もっとも還元された状態のものです。
なので、「硫化物イオン」が検出されるということは、その水が嫌気性状態にあることを示します。
水中の溶存酸素がある状態ではすみやかに酸化されて「硫酸イオン」となります。
「硫化物イオン」は通常の自然水中にはほとんどみられませんが、富栄養湖の底層水や汚濁した河川の感潮域(海水中の「硫酸イオン」が硫酸還元菌によって硫化水素になる)ではしばしば検出されることがあります。
また、下水やし尿、工場廃水、硫黄温泉などに由来する場合もあります。
汚濁の進んだ水域の底泥や水が黒くなるのは、主に「硫化第一鉄(FeS)」が生成することによります。
いわゆる「ヘドロ」ですね。
これも嫌気状態が影響しているんですね。
酸素が無いといろいろ望ましくないことが起こります。
ヘドロ.jpg
都市河川の底にたまった真っ黒なヘドロ

カテゴリー: 土と水について タグ: パーマリンク