皆伐の後

森林の手入れの方法に「間伐(かんばつ)」というものがありますが、これは樹木の密度を適正に調整するものです。
それとは別に「皆伐(かいばつ)」というものもあります。
これはある範囲の樹木をすべて切り倒してしまう方法です。
工事などでもよく行われます。
さて、下の写真は、一方は皆伐したエリア(写真上)で、もう一方はそのままのスギ林の状態(写真下)です。
土の中に含まれる水分量を考えた場合、どちらの土がよく湿っているでしょうか?
IMGP1432.jpg
IMGP1433.jpg
実は、皆伐した後のハゲ山の方が見た目は乾いているように見えますが、土の中を少し掘ってみると、よく湿っています。
逆にスギが残っている林の方が土の中は乾いてます。
これは、スギが土の中の水分を吸収して成長に利用しているからです。
その量は、正確には測ることは難しいのですが、無視できるものではありません。
昔、ハゲ山だったところがスギを植えることにより、数十年を経て、その沢の水が少なくなった。
と、いう話を聞くことがありますが、これはこのような樹木の水利用が影響しているとも考えられます。
このように樹木が多いから水が豊富にある、というわけではなく、逆の場合もあることを認識しておく必要があります。
そもそも、樹木たちも水を使って成長していることを忘れてはいけません。
将来、「樹木と人間が水の取り合い」なんてことも起こりうるかもしれませんね。

カテゴリー: 土と水について タグ: パーマリンク