森林水文学

森林と水文学との関連をみてみましょう。水循環における森林の役割を整理してみると、次のようになります。
1.森林は蒸散作用により地表面の熱環境を緩和します。
2.森林の大規模な消失は地表の熱環境を局所的に変化させます。そして蒸散量の減少を通して広域の水循環を変化させる恐れがあります。
3.森林は物質生産を行い、物質循環に深くかかわっています。この物質循環の過程で森林土壌が形成されます。
4.森林土壌の有無は地表周辺の雨水流出経路を決定し、河川の洪水や渇水に大きく影響します。
5.雨水流出経路は地表の浸食形式を決定し、浸食量に著しい差異をもたらします。
6.森林と森林土壌の有無は河川の土砂含有量と水質形成に大きな影響を与えます。
「森林水文学(塚本良則)文永堂出版」より引用
このように、森林の役割は森林の蒸散作用と森林土壌の雨水流出への作用の2つに大別されます。前者は広域の水循環と熱環境の形成に関与し、後者は人間による地表変化の結果として河川水量の変化、水質の変化に関係します。
これらの変化はいずれも人為的な森林破壊や局所的な都市化、耕地などの乱開発がもたらす問題に連なっています。
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