河床のアーマーコート化

あまり馴染みのない言葉と思いますが、近年、ダム下流の河川の底質において「アーマーコート化 armor coat」が問題となっています。
アーマーコートとは、
河床を構成する材料のうち細粒部分が流水によって運び去られた結果、粗い礫のみからなる層によって河床が覆われ自然の平衡状態が出現する。これをアーマーリングといい、粗い礫からなる河床面の層をアーマーコートといいます。  (河川・ダム・砂防用語事典)
要するに、上流側にダムができたことにより、流量の現象、土砂供給の現象、などにより今まで程良く供給されてきた土砂がうまく供給されなくなってきており、河床に堆積していた細かい細粒分(砂・シルトなど)が洗い流されて、大きな粗粒分(礫)のみが残ってしまう現象です。
この現象が発生し始めると、複雑で多様な底質環境が単調な構造となり、特定の生物種が優勢になっていしまいます。
これにより生態系のバランスが崩れ始め、河川の生物環境を変えてしまうことになるのです。
矢作川では、アーマーコート化により大型糸状緑藻「カワシオグサ」が繁茂し、アユの餌となる珪藻や藍藻などの発育を阻害し、アユの成長にも影響を与えていると言われています。

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