水文観測で測定必須項目に電気伝導度ECがあります。
水中に含まれる成分の量によってECが変化していきます。
山間の綺麗な沢水であれば、ECは3から5mS/m程度、街中の河川では10mS/m程度、地下水は状況に応じて10から30mS/mと色々です(あくまでも一般的な話です)。
ちなみに降水のECは2mS/m以下となります。
水文調査で、定期的にこの電気伝導度を計測していると、場所によって変化するところと、常に一定なところなどの特徴が出てきます。
雨が降ればECが低下するのであれば、降水の影響を受けやすい表流水、ECが常に一定であれば、安定した地下水(井戸や湧水など)となります。
ECの変動傾向を見ることで、その水が起源を推察することができるようになります。
で、今、私が計測している箇所ではこんなことが起こっています。
上の写真では、左側の岩がゴロゴロしている小さな沢と、右側の草むらから湧いている水が合流しているのがわかります。
左側の電気伝導度を計測するとEC6.60mS/m(普通の沢水)
右側ではEC11.45mS/m(地下水)となります。
同じ沢なのに出てくる場所が異なるとECも変わっています。
不思議ですね。
で、周辺の環境からみると、左側のECの低い方は雪解け水(降水)が集水域にたくさん入ってきたもの、右側は地下から湧出しているものと考えることができます。
同じ水のように見えても、水質の性状は異なります。
当然、水量の挙動も異なるはずです。
おそらく左側の水は雪解けの水がなくなれば、少なくなると思います(雨が降れば別ですが)。
そんなわけで、水の流れを調べるには、電気伝導度が有効です。
もちろんこれだけでなく、水温、pHなども含めて長期的な観測が必要です。