木工沈床

「木工沈床(もっこうちんしょう)」ってご存じですか?
これは古くから伝わる河川治水のための伝統工法です。
丸太を井桁に組み合わせて中に石を詰めた工事方法で、天然素材を利用します。
これにより川の流れを抑制し、治水に役立てます。
いわゆる「昔ながら」の工事方法ですが、環境問題が取り上げられている近年、注目を集め始めています。
コンクリートなどを使わないため、自然に与えるインパクトが少ないのは当然ですが、他にも大きな利点があります。
そのひとつは、「流域の間伐材を利用するため、森林の健全な育成に貢献していること。」です。
水の流れは山の中の小さな源流から河川を流れて海にまで繋がっています。
これをふまえれば、「流域一体」という考え方が必要になってきます。
小さな源流は森林に守られています。手入れのされていない放棄された森はやはり荒廃していきます。
間伐材などを流域内で利用することは、森林の管理に繋がり、結局は流域一体の考え方に発展していきます。
このような河川伝統工法を着実に継承している会社がありました。
岐阜県の「井納木材株式会社」さんです。
先日の「中部建設技術フェア」で出展されていました。
数ある新技術が並ぶ中、「古きより伝わりし、新しい技術」として、この木工沈床を取り上げており、個人的に大変興味を持ちました。
ただ単に伝統を受け継いでいるだけでなく、その工法を現在の工事にも反映できるようにユニット化するなど様々な工夫を凝らしています。
「井納木材」さんのHPはこちらです。
http://www.inomoku.jp/index.html
「川を守ることは、山を守ること」、「山を守ることは、川を守ること」と、いうことがご理解頂けると思います。一度ご覧ください。

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「井納木材株式会社」HPより引用

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