多自然型川づくりと多自然川づくり

「多自然型川づくり」という言葉をきいたことがあるでしょうか?
戦後の河川行政においては、
1.頻発する自然災害から生命・財産を守るという要請があった。
2.なので、近代的な技術により、コンクリート三面張り、河道の直線化などを多用した。
3.もちろん、河川・湿原などにおける生物の生息・生育環境、地域の景観などへの配慮はされていなかった。
これらを背景として、
平成2年に、河川が本来有している生物の良好な生育環境に配慮し、あわせて、美しい自然景観を保全あるいは創出することを目的に、
「多自然型川づくり」が開始された。
しかし、
それなりに認識はされてはいたが、やはり、規格通りの画一的な、事業となってしまい、本当の「多自然」ってなに?
という、声が挙がり始めた。
その後、平成14年に「多自然型川づくり」の現状を検証し、
新たな展開を図るべく「多自然川づくり基本方針」として、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境および河川景観を保全あるいは創出するための努力を始めました。
ようは、「多自然型(風)川づくり」として事業をなんとなく進めてきたが、フタを開けてみれば、コンクリート三面張りに自然石風のブロックを並べてだけ、とか、特定の種だけを考慮して進めてしまった事業とか、数年経ってから、よく見れば、事業者の都合の良い設計と素材で造られたものでしかなかったと、気付かされたわけです。
これではいけないということで、意見を集め、今度は真面目にやりましょうということで、「型(〇〇風)」をはずして、「多自然川づくり」という言葉を使って取り組むことにしたわけです。
とは言いつつ、最近の集中豪雨等に対する驚異的な災害にも対応を迫られるわけなので、まだまだ、試行錯誤は続いていくことになるでしょう。

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